目を閉じる。聞こえるのは、囁く水の音。―――と。

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「あっはははは!!」

二人の声。一つはあのアリスのもの。と、もう一つは思い出したくもないあの赤い騎士のものだ。

「また落ちたの・・」

アリスには同情するわ。毎度お疲れ様。風邪、引かないと良いわね。はぁ、とため息を吐く。

「あーでも、落ちなくてよかった」

そんな滝つぼに落ちるなんてこと、したくないもの。引っ張られたのがアリスで、引っ張ったのがエースで、引っ張られなかったのは私で。
くす、と笑みが洩れる。本当に同情するわ、アリス。

「大好きよ、アリス」

この世界で愛すべき人。もう少し時間がずれていたらペーターなんかじゃなくて私が貴方を好きになっていたのに。惜しいわ。

下では、ぱちゃんと水が跳ねる音がした。着水、したみたい。またくすりと笑みが洩れる。・・・あぁ、本当に。

「貴方は愛すべき人なのね、アリス」


Dagger's love
(可愛い子。愛されてそのまま堕ちてしまえ)