ちゅ、とリップ音を立ててから、唇が離れる。熱い唇。
それをそっと、確かめるように指でなぞる。壊れ物のように。

「どう?」

どう、って訊かれても・・。どう応えればいいのよ。
なんて、私が考えていることを彼はしらない。
唇を何度も往復した指で、彼の唇に触れる。
嗚呼。この唇が、私と繋がったんだ、と思う。
なんだかそう思うと哀しくなってきて、思わず彼をぎゅっと抱き締めた。

「・・・どうしたの?」

何かあったのか、って。すごく心配そうで、まるで独りみたいな、
そんな声で訊かないでよ。
悲しくなるでしょう?もう離れてあげられないみたいじゃない。

「なんでもない・・・」

蚊の泣くような声で言った私の言葉は届いたのか届かなかったのか。
彼は私の背中に手を回すと、ぎゅっと抱き返してきた。

「君は一人にしてあげないよ」

優しく囁かれる言葉。それでもいいの、と言ってあげたくなるくらいに。

あなたが独りにならないのだったら私は貴方に捕らわれたままでも構わない。


Lost